民泊投資は「儲かるのか」を数字で検証する
「民泊って実際に儲かるんですか?」——これは私がコンサルティングの現場で最も多く受ける質問の一つです。
結論から言えば、物件選定と運営設計を間違えなければ、実質利回り10〜20%は現実的な数字です。ただし、それは「180日制限」「OTA手数料」「清掃費」「閑散期の空室」といった変数をすべて織り込んだうえでの話であり、ネット上に溢れる「年収500万円も夢じゃない」といった数字の多くは、楽観的すぎるシミュレーションに基づいています。
数字で見ると、民泊新法の届出件数は2026年3月時点で累計61,605件に達する一方、廃業率は約35%。つまり3件に1件以上が撤退しています。撤退の主因は「想定通りの収益が出なかった」——すなわち、事前の収益シミュレーションが甘かったケースがほとんどです。
本記事では、マンション1室・戸建て・一棟アパートの3つの物件タイプ別に、初期投資・ランニングコスト・売上見込み・利回り・回収期間をすべて具体的な数字でシミュレーションします。民泊の始め方ガイドが手続き面に特化しているのに対し、本記事は「本当に儲かるのか?」という経済面の疑問に正面から答える内容です。
収益シミュレーションの前提|押さえるべき基本数字
シミュレーションに入る前に、計算の前提となる基本数字を整理します。ここを曖昧にしたまま収支を組むと、絵に描いた餅になります。
民泊新法の180日制限が収益に与えるインパクト
住宅宿泊事業法(民泊新法)では、年間の営業日数が最大180日に制限されています。さらに、自治体の上乗せ条例でこれが120日や週末限定になるケースもあります。
| 地域 | 年間営業上限 | 備考 |
|---|---|---|
| 大半の自治体 | 180日 | 民泊新法の標準 |
| 東京都新宿区 | 約156日 | 月曜正午〜金曜正午は営業不可(住居専用地域) |
| 東京都渋谷区 | 約104日 | 月曜〜木曜正午まで営業不可(住居専用地域) |
| 京都市(住居専用地域) | 約60日 | 1/15〜3/15のみ営業可 |
180日をフル稼働させても年間の約49%しか営業できません。実際には清掃日や予約の谷間が発生するため、実稼働日数は120〜160日が現実的なレンジです。以降のシミュレーションでは、保守的ケース・標準ケース・好調ケースの3パターンで試算します。
主要コスト項目の相場
| コスト項目 | 相場(月額) | 備考 |
|---|---|---|
| 清掃費 | 1回3,000〜8,000円 | 1R:3,000〜5,000円、戸建て:5,000〜8,000円 |
| OTA手数料 | 売上の3〜15% | Airbnb:ホスト3%、Booking.com:12〜15% |
| 水道光熱費 | 8,000〜25,000円 | 物件規模と稼働率で変動 |
| 消耗品・アメニティ | 3,000〜15,000円 | タオル・シャンプー・トイレットペーパー等 |
| Wi-Fi | 4,000〜6,000円 | 固定回線+ルーター |
| 保険料 | 3,000〜8,000円 | 施設賠償責任保険 |
| 管理代行費 | 売上の15〜25% | 家主不在型は委託義務あり |
見落としがちなのが管理代行費です。家主不在型の民泊では、住宅宿泊管理業者への委託が法律で義務付けられており、売上の15〜25%が上乗せされます。民泊管理会社の比較記事でも解説していますが、この費用を初期シミュレーションに入れていないケースが非常に多いです。
物件タイプ①:マンション1室(初期投資80〜180万円)
最も参入障壁が低く、副業として始める方の多くがこのパターンです。
初期投資の内訳
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件取得費(賃貸の敷金・礼金・仲介料) | 25万〜60万円 |
| 家具・家電・備品 | 25万〜60万円 |
| リフォーム・内装 | 0〜30万円 |
| スマートロック・IoT設備 | 3万〜10万円 |
| 消防設備 | 1万〜5万円 |
| プロ写真撮影 | 3万〜5万円 |
| 行政書士費用(任意) | 5万〜15万円 |
| 合計 | 80万〜180万円 |
月次収支シミュレーション(東京23区・1R・賃料10万円の場合)
| 項目 | 保守的 | 標準 | 好調 |
|---|---|---|---|
| 月間営業日数 | 10日 | 13日 | 15日 |
| 稼働率 | 70% | 80% | 90% |
| 実稼働日数/月 | 7日 | 10日 | 14日 |
| 平均宿泊単価(ADR) | 12,000円 | 14,000円 | 16,000円 |
| 月間売上 | 84,000円 | 140,000円 | 224,000円 |
| 家賃 | -100,000円 | -100,000円 | -100,000円 |
| 清掃費(1回4,000円) | -28,000円 | -40,000円 | -56,000円 |
| OTA手数料(平均8%) | -6,700円 | -11,200円 | -17,900円 |
| 水道光熱費 | -10,000円 | -12,000円 | -15,000円 |
| 消耗品・通信・保険 | -12,000円 | -14,000円 | -16,000円 |
| 月間利益 | -72,700円 | -37,200円 | +19,100円 |
率直に言います。賃貸マンション1室×民泊新法(180日制限)の組み合わせは、利益を出すのが非常に難しいです。家賃10万円の物件では、好調ケースでも月間利益は約1.9万円、年間で約23万円にしかなりません。
この収支を改善するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 家賃を7万円以下に抑える(郊外や地方の観光地)
- 自己所有物件を使う(家賃負担ゼロ)
- 旅館業法の簡易宿所許可を取得して365日営業
- 180日以外の期間をマンスリー賃貸として活用
自己所有マンション1室で家賃負担がないケースでは、標準シナリオで月間利益約6.3万円、年間約75万円まで改善します。この差が「持ち物件」と「賃貸転貸」の収益構造の決定的な違いです。
物件タイプ②:戸建て一棟貸し(初期投資200〜500万円)
グループ・ファミリー需要を取り込めるため、1泊あたりの単価が高いのが戸建ての最大の強みです。
初期投資の内訳
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件取得費(購入の場合は頭金、賃貸の場合は敷金等) | 50万〜200万円 |
| リノベーション・内装工事 | 50万〜150万円 |
| 家具・家電・備品 | 40万〜80万円 |
| スマートロック・IoT設備 | 5万〜15万円 |
| 消防設備 | 3万〜10万円 |
| 外構・看板 | 5万〜20万円 |
| プロ写真撮影 | 3万〜5万円 |
| 行政書士費用 | 5万〜15万円 |
| 合計 | 200万〜500万円 |
年間収支シミュレーション(地方観光地・3LDK・最大6名・自己所有)
| 項目 | 保守的 | 標準 | 好調 |
|---|---|---|---|
| 年間営業日数 | 120日 | 150日 | 180日 |
| 稼働率 | 60% | 75% | 85% |
| 実稼働日数 | 72日 | 113日 | 153日 |
| ADR(1棟あたり) | 25,000円 | 30,000円 | 35,000円 |
| 年間売上 | 180万円 | 339万円 | 536万円 |
| 清掃費(1回6,000円) | -43万円 | -68万円 | -92万円 |
| OTA手数料(8%) | -14万円 | -27万円 | -43万円 |
| 水道光熱費 | -18万円 | -24万円 | -30万円 |
| 消耗品・通信・保険 | -15万円 | -18万円 | -22万円 |
| 修繕積立 | -12万円 | -12万円 | -12万円 |
| 固定資産税 | -10万円 | -10万円 | -10万円 |
| 年間利益 | 68万円 | 180万円 | 327万円 |
戸建て一棟貸しでは、標準ケースで年間利益180万円が見込めます。初期投資300万円とすると、回収期間は約1.7年です。マンション1室と比較して収益性が格段に高いのは、「家賃負担がない(自己所有)」「1泊単価が2〜3倍」「グループ利用で稼働率が安定しやすい」の3点が効いています。
実績として、私が支援した地方の戸建て民泊(3LDK・最大8名)では、Airbnbの平均宿泊単価32,000円、年間稼働日数128日で年間売上410万円、諸経費差し引き後の年間利益は約220万円でした。
物件タイプ③:一棟アパート転用(初期投資500〜1,500万円)
空きアパートや古民家一棟を民泊・簡易宿所に転用するモデルです。初期投資は大きくなりますが、複数室の運営でスケールメリットが生まれます。
初期投資の内訳(6室アパート転用の場合)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件取得費(購入頭金または一括) | 200万〜800万円 |
| リノベーション(6室分) | 180万〜400万円 |
| 家具・家電・備品(6室分) | 120万〜240万円 |
| 共用部整備 | 30万〜60万円 |
| 消防設備・建築基準法対応 | 30万〜80万円 |
| その他(許可取得・撮影等) | 20万〜40万円 |
| 合計 | 600万〜1,500万円 |
一棟転用で最も重要なのは、旅館業法(簡易宿所)の許可を取得して365日営業を可能にすることです。民泊新法の180日制限では投資規模に対してリターンが不足します。
年間収支シミュレーション(6室・簡易宿所許可・365日営業)
| 項目 | 保守的 | 標準 | 好調 |
|---|---|---|---|
| 年間販売可能室泊数 | 6室 × 365日 = 2,190泊 | ||
| 稼働率 | 55% | 70% | 80% |
| 実稼働室泊数 | 1,205泊 | 1,533泊 | 1,752泊 |
| ADR | 10,000円 | 12,000円 | 14,000円 |
| 年間売上 | 1,205万円 | 1,840万円 | 2,453万円 |
| 清掃費(1回3,500円) | -422万円 | -537万円 | -613万円 |
| OTA手数料(10%) | -121万円 | -184万円 | -245万円 |
| 水道光熱費 | -96万円 | -120万円 | -144万円 |
| 人件費(パートタイム管理人) | -120万円 | -120万円 | -120万円 |
| 消耗品・通信・保険 | -48万円 | -60万円 | -72万円 |
| 修繕積立・固定資産税 | -60万円 | -60万円 | -60万円 |
| 年間利益 | 338万円 | 759万円 | 1,199万円 |
一棟アパートの標準ケースで年間利益759万円。初期投資1,000万円に対する投資回収期間は約1.3年です。365日営業できる簡易宿所許可の取得が、収益性を大きく左右していることが分かります。
表面利回りと実質利回りの違い|正しい計算方法
民泊投資の利回りを語るとき、「表面利回り」と「実質利回り」を混同している情報が非常に多いです。まずダッシュボードを開いて、この2つの違いを明確にしましょう。
利回りの計算式
| 指標 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| 表面利回り(グロス) | 年間売上 ÷ 初期投資 × 100 | 経費を考慮しない大まかな指標 |
| 実質利回り(ネット) | 年間利益 ÷ 初期投資 × 100 | 経費控除後の実質的な投資効率 |
| 投資回収期間 | 初期投資 ÷ 年間利益 | 投資額を回収するまでの年数 |
物件タイプ別利回り比較(標準ケース)
| 指標 | マンション1室(自己所有) | 戸建て一棟貸し | 一棟アパート(簡易宿所) |
|---|---|---|---|
| 初期投資 | 100万円 | 300万円 | 1,000万円 |
| 年間売上 | 168万円 | 339万円 | 1,840万円 |
| 年間利益 | 75万円 | 180万円 | 759万円 |
| 表面利回り | 168% | 113% | 184% |
| 実質利回り | 75% | 60% | 76% |
| 投資回収期間 | 1.3年 | 1.7年 | 1.3年 |
不動産賃貸投資の実質利回りが3〜8%であることと比較すると、民泊投資の利回りは圧倒的に高く見えます。ただし、これには重要な注意点があります。
- 自分の労働時間がコストに含まれていない:自主運営の場合、月20〜40時間の稼働が発生する
- 物件購入費が含まれていない:上記の初期投資は内装・設備費のみ。物件購入費を含めると利回りは大幅に低下する
- 180日制限のリスク:条例改正で営業日数がさらに制限される可能性がある
- 空室リスク:季節変動・競合増加・OTAアルゴリズム変更で稼働率が急変する
以前、OTA依存度95%のホテルを支援した際、ある月にOTAがアルゴリズムを変更し、検索順位が一晩で30位下落して月間予約が40%減という事態に直面したことがあります。事故レポートを1枚にまとめ、業界の類似事例8件と並べて「同じことが他OTAでも起こる」リスクを可視化し、直販+LINE公式の強化を6ヶ月かけて実行しました。結果、OTA比率を95%から70%まで引き下げ、次のアルゴ変更時の影響は1/3に軽減できました。民泊でもOTA一本足のリスクは常に意識すべきです。
初期投資の回収期間シミュレーション
物件タイプ別に、月次キャッシュフローの推移を見てみましょう。
回収期間の比較(標準ケース)
| 経過月 | マンション1室(自己所有) | 戸建て一棟貸し | 一棟アパート |
|---|---|---|---|
| 投資額 | -100万円 | -300万円 | -1,000万円 |
| 6ヶ月後 | -63万円 | -210万円 | -621万円 |
| 12ヶ月後 | -25万円 | -120万円 | -241万円 |
| 16ヶ月後 | 黒字転換 | -60万円 | +12万円(黒字転換) |
| 20ヶ月後 | +25万円 | 黒字転換 | +265万円 |
| 24ヶ月後 | +50万円 | +60万円 | +518万円 |
いずれの物件タイプでも、標準ケースで2年以内に初期投資を回収できるシミュレーションです。ただし、これは「標準ケース」での試算であり、保守的ケースでは回収期間が2.5〜4年に延びる可能性があります。
私がコンサルティングの現場で推奨しているのは、「保守的ケースでも3年以内に回収できる」計画を組むことです。標準ケースでの回収を前提にすると、想定外の不調が1〜2ヶ月続いただけで資金繰りが厳しくなります。
収益を最大化する5つの打ち手
シミュレーションの数字を「標準」から「好調」に引き上げるための具体的な打ち手を解説します。
打ち手1:180日の使い方を最適化する
180日制限下では、「いつ営業するか」の選択が収益を大きく左右します。繁忙期(桜・GW・夏休み・紅葉・年末年始)に営業日を集中させ、閑散期は営業を控えることで、限られた180日のADRを最大化できます。
数字で見ると、繁忙期のADRは閑散期の1.5〜2倍になるため、同じ180日でも営業タイミングの最適化だけで年間売上が20〜30%変わることがあります。
打ち手2:残り185日をマンスリー賃貸で埋める
民泊営業しない185日間を、30日以上の定期賃貸契約で貸し出す方法です。マンスリー賃貸は旅館業法・民泊新法の適用外のため、制限なく運営できます。東京23区であれば月8万〜15万円の家賃収入が見込め、年間40万〜90万円の追加収益になります。
打ち手3:ダイナミックプライシングで単価を最適化する
需要に応じて料金を日次で変動させるダイナミックプライシングは、民泊の収益改善に最も即効性のある施策です。PricelabsやBeyond Pricingなどのツールを導入すると、ADRが10〜20%向上する事例が多数報告されています。ダイナミックプライシング導入ガイドで詳しい手順を解説していますので、併せて参照してください。
打ち手4:直販チャネルを育てる
OTA経由の予約はホスト手数料3〜15%が発生しますが、自社サイトやInstagram・Google Business Profile経由の直接予約なら手数料はほぼゼロです。リピーター向けにLINE公式で直販の導線を作れば、OTA手数料分がそのまま利益に変わります。
打ち手5:簡易宿所許可で365日営業に切り替える
実績を積んだ後に旅館業法の簡易宿所許可を取得し、365日営業に移行するのが収益性を飛躍的に高める最大の打ち手です。許可取得には追加投資(50万〜200万円)と手続き期間(3〜6ヶ月)が必要ですが、営業日数が2倍になるインパクトは計り知れません。一棟アパートの事例で見たように、365日営業の有無で年間利益が3〜5倍変わります。
失敗する収益計画の3パターン
ここまで「うまくいくケース」を中心に解説してきましたが、現場では収益計画の甘さから撤退に追い込まれるケースを数多く見てきました。失敗パターンに共通する特徴を3つ挙げます。
パターン1:稼働率100%で計算している
「180日 × 稼働率100% × 平均単価20,000円 = 年間売上360万円」——このような計算は非現実的です。清掃日、予約の谷間、直前キャンセルなどを考慮すると、稼働率は70〜85%が現実的な上限です。稼働率100%の計算は、計画段階で30〜40%の売上高が水増しされていることを意味します。
パターン2:ランニングコストを過小見積もりしている
「清掃は自分でやるからゼロ」「消耗品は大した額じゃない」——こうした見積もりは、開業後すぐに崩壊します。清掃を毎回自分で行う時間的コスト、消耗品の積み重ね、突発的な修繕費、OTA手数料と管理代行費を合算すると、ランニングコストは売上の40〜60%に達するのが一般的です。
パターン3:出口戦略を考えていない
「もし利益が出なかったらどうするか」を計画段階で決めておかないと、赤字を垂れ流しながらずるずると続けてしまいます。私が推奨するのは「4ヶ月ルール」です。開業後4ヶ月の実績が保守的シミュレーションを下回り続けたら、損切りまたは運営モデルの抜本的な見直しを行うタイミングです。施策効果の検証は4週間で見切るのが私の基本方針ですが、民泊の場合は季節変動を考慮して4ヶ月に延長します。
よくある質問
Q. 民泊投資に必要な最低資金はいくらですか?
自己所有マンション1室を活用する場合、家具・備品・手続き費用で最低50万〜80万円から始められます。賃貸物件の転貸型は敷金・礼金が加わり80万〜180万円、戸建て購入型は200万〜500万円以上が目安です。自己資金が少ない場合は、自宅の空き部屋を活用する「家主居住型」が最もリスクの低い選択肢です。
Q. 民泊の年収はどのくらいが現実的ですか?
物件タイプと運営形態で大きく異なります。マンション1室(自己所有・民泊新法)で年間利益50万〜120万円、戸建て一棟貸し(自己所有・民泊新法)で70万〜330万円、一棟アパート(簡易宿所・365日営業)で340万〜1,200万円が現実的なレンジです。「民泊で年収1,000万円」は一棟規模かつ簡易宿所許可が前提と考えてください。
Q. 民泊新法の180日制限でも利益は出ますか?
自己所有物件であれば利益は出ます。ただし、賃貸物件の転貸型は家賃負担があるため、都心の高家賃エリアでは赤字になりやすいです。180日の使い方を最適化する(繁忙期に集中運営する)ことと、残り185日をマンスリー賃貸で活用することが収益化のポイントです。
Q. 実質利回り10〜20%は本当に達成可能ですか?
物件購入費を含まない内装・設備投資に対する利回りとしては達成可能です。ただし、物件購入費を含めると実質利回りは5〜15%程度に低下します。不動産投資の一般的な実質利回り3〜8%と比較すると依然として高水準ですが、自分の労働時間コストを考慮する必要があります。
Q. 民泊投資でローンは組めますか?
民泊新法の届出だけでは住宅ローンや事業融資が通りにくいのが実情です。旅館業法の簡易宿所許可を取得していれば、日本政策金融公庫の創業融資や地方銀行の事業融資が利用できるケースがあります。融資を前提とする場合は、事業計画書の作成と簡易宿所許可の取得を先行させましょう。
まとめ:民泊投資は「小さく試して数字で判断」が鉄則
本記事で示した3つの物件タイプ別シミュレーションを改めて整理します。
| 物件タイプ | 初期投資 | 年間利益(標準) | 実質利回り | 回収期間 |
|---|---|---|---|---|
| マンション1室(自己所有) | 100万円 | 75万円 | 75% | 約1.3年 |
| 戸建て一棟貸し | 300万円 | 180万円 | 60% | 約1.7年 |
| 一棟アパート(簡易宿所) | 1,000万円 | 759万円 | 76% | 約1.3年 |
収益性の高さだけを見れば魅力的な数字ですが、これは「標準ケース」での試算です。保守的ケースでも事業が継続できるかを必ず検証してください。
私が現場で見てきた成功事例に共通するのは、「小さく始めて、数字を見て判断し、徐々にスケールする」というアプローチです。以前支援した28室の老舗旅館では、値上げ提案を3回断られた社長に対し、「土曜日だけ、スタンダード客室だけ、1,500円だけ」の限定テストを提案しました。1ヶ月後、キャンセル率は変わらずRevPARが12%改善。社長から「全曜日で検討したい」と逆提案を受けました。
民泊投資も同じです。最初から大きな投資をするのではなく、まず1室で始め、4ヶ月間の実績データを見て、料金戦略を最適化し、手応えがあれば拡大する。数字を根拠に、一歩ずつ前に進める方が、結果として最も早く目標に到達します。



